猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

大病院で頑張る人たち

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先月のニュースになりますが、厚生労働省財務省が来年度の予算編成で、大病院の周辺に店舗を構える、いわゆる「門前薬局」の調剤報酬を下げ、地域にあるかかりつけの薬局の報酬を上げるそうです(※以下記事、最後まで読むには会員登録が必要)。

「門前薬局」報酬下げ 厚労・財務省「かかりつけ」手厚く :日本経済新聞

記事の冒頭部には書かれていませんが、こういった門前薬局はユーザー(患者)の服薬まで管理しておらず、「かかりつけ」の機能を果たしていないと評されています。私見ですが、大病院VS町中のかかりつけ病院という対立構造を薬局にまで広げて論じているような気もしました。

なんとなくですが、日本では「個人開業医=庶民の味方」であって、大病院はどこかビジネス的な冷たい対応で、医師同士による権力争いが絶えない伏魔殿のようなイメージを抱いている人が多いんじゃないかと思います。TVドラマの影響もあることでしょう。

しかし町医者は、日ごろのかかりつけの患者の容態は把握しているでしょうが、複雑な検査が必要になった場合や、手術が必要なほどの大病を患った患者に対しては、紹介状を書いて結局は大病院に任せる手段を取ります。人間いつまでも元気で生きられるわけではないですし、どちらの存在も私たちの強い味方であるはずです。

僕も20代前半のころ、某都立病院で医療事務をやっていました。病院は24時間体制で、当直医は昼間の自分の仕事を終えてから当番制で夜の緊急診療に備えていました。大体30代くらいの若い医師が多いのですが、眠そうにしている人、から元気で明るく振る舞っている人、皆さん本当に大変な思いで勤務にあたっていたことだと思います。

政治に大きな影響力を持つ「日本医師会」ですが、これは個人開業医による集まりの団体で、自分たちの名誉や利権は守るが、大病院に勤務する医師のことはどこ吹く風というスタンスです。その証拠に大病院は医師不足に泣かされているところが多いですが、開業医(歯科は除く)が人手不足でつぶれているという話はほとんど聞きません。

今回の調剤報酬改定も、大病院サイドに不利となる改定です。確かに町医者は心強い存在かもしれませんが、大病院でボロボロになりながら深夜の急病や事故に備えている若い医師たちの存在も決して無視してはいけないはずです。どちらが生命の危機に瀕するケースが多いことか一目瞭然でしょう。

 

「技は見て盗むもの」は真っ赤なウソ

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はい、いきなり売れ線ねらいの意図が見え見えの書籍風タイトルな見出しでスンマセン。今回はいわゆる「職人」の世界の話をしようと思います。

私は以前シリーズで、金物の職人さんたちの取材をしたことがあります。合計4名の方にお話を伺ったのですが、4名とも共通しておっしゃっていたのが

「よく“技は見て盗め”というが、それよりもきちんと教えてあげたほうがはるかに良い」

ということ。

この発言の裏にはどのような意図があるのでしょうか?

まず、基礎はしっかりと手取り足取り教えてあげたほうが早く一人前に育つ、ということ。そしてご自身たちが、付いた師匠になかなか教えてもらうことができず技術習得までに時間を要したため、そのことに対する反発も少なからずあるような気がします。

昔は色々な職人さんのところに弟子入りを志願する人も多く、師匠もいちいち全員の面倒なんか見ていられなかったという時代背景もあるでしょう。しかし現在、伝統工芸の技術を受け継ぐ若い人たちの数は減りつつあります。早く技を伝授して自分の後継者を育てること、ひいてはその世界を継続・繁栄させていく人材の枯渇に大きな危機感を持っていることも間違いないでしょう。

僕の意見ですが、どんな世界でも「基礎」はしっかりと先輩たちが教えてあげる必要があると思います。基礎の欠如は「安全」に反するものですし、貴重な資源を使いモノづくりをするのならば、限りある素材は無駄にできないからです。

そしてある程度基本を習得できてからは、後は本人たちの努力次第になります。

師匠の作業や作品をよく観察する。書籍を買って勉強する。美術館や骨董市などで作品を観察し、必要であれば購入する。このあたりからは弟子一人ひとりの意識の高さやセンスが問われてくることころ。

こうしてできあがった「基礎」の上に、その人の感性やセンスが盛り込まれたものが「作品」として認められ、その人の付加価値となります。ここまできてやっと一人前になれるのではないでしょうか?

一度途絶えてしまった技術は簡単にはよみがえりません。「痛くない注射針」で有名な岡野工業株式会社代表の岡野雅行さんも、同じく職人だった実父から橋の欄干に付いている装飾品(よくスライムみたいな形しているやつ)の鍛造技術を教えてもらえないままお父さんが亡くなってしまったので、いまだに再現ができないと自らの著書で述べています。

技の習得は時間をかけるほど評価されるというわけではないですからね。しっかりと後進を指導して、日本に広く息づく伝統工芸の継承に力を入れていただきたいと思います。しっかりとした指導スキームが完成されているのなら、少しは人材も集まりやすいのではないでしょうか?

 

 

 

 

今年のハロウィンは…

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世間はハロウィンで盛り上がってますねー。僕も毎年1~2回くらいは何らかのハロウィンパーティに参加していたんですが、今年は不参加。子どものころにも、仮装して近所の家までお菓子をもらいに歩くハロウィンのイベントはあったのですが、正直あまりこの手のイベントは好きでないんです。

ニュースでも奇抜な格好をした人が映し出されていますが、結局日本でのハロウィン=コスプレパーティですからね。でもあれだけ大勢の人が熱狂するということは、それだけコスプレ願望のある人たちが潜在的にいるということでしょう。

そういや最近街中で、ピンク色や紫色に髪を染めている人をやたら目撃します。若い子たちばかりでなく、見た感じ自分と同じ30~40歳くらいの人もいます。

どこか「奇抜な格好をしたい」と心の中で思っていても、日常的に変な格好できるわけでもありませんしね。いつ警察から職務質問されるかもわからんし。せめて髪だけは目立つ色にしたいという人が増えているのかもしれませんね。

プロのプロによるプロのための…

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今月18日に亡くなられた西室泰三氏。東芝日本郵政東京証券取引所などの社長を歴任した方で、昨日(20日)の日経新聞にも政財界から故人を悼む声が多数寄せられていました。

ところが亡くなった当日、Yahooニュースのコメント欄を見てみると、「相次ぐ経営の失敗で巨額の損失を日本にもたらした張本人」と手厳しいコメントばかりで、故人の功績をねぎらうようなコメントは皆無でした。まあ東芝は今、完全に針のむしろですからね。国民からリスペクトされないのは仕方ないことでしょう。

いわゆる“業界人”からは評価を得ていても、国民にその功績や恩恵が理解されないケースって多々あることだと思います。2020年東京五輪エンブレム問題に揺れたアートディレクターの佐野研二郎氏もその一人でしょう。パクリ疑惑が発覚した途端、集中して非難され続けましたが、選考委員や同業者は徹底して彼をかばい続けました。一般公募で選ばれた別の作品が採用された後も、審査委員長まで「(決まった作品より)佐野作品の方が良かった」と言い出す始末。

もともと大手企業がからむ商業要素の強いイベントなどの制作を請け負うのは、「有名美大→大手広告代理店→独立」の黄金キャリアを進んだ少数のデザイナーやアートディレクターたちで、いざコンペになると彼らの間で牌の譲り合いをしている世界なのです。狭い世界の中でこういったことが慣習となってくると、厳しく新しい視点で物事を評価するよりも、お互いの顔色を見ながら仕事の配分を決めていく方が業界内での“評価”につながるということです。こういった世界なので、事情を知らない国民とプロたちの間で温度差が生まれるのは当然のことでしょう。

さて明日は第48回衆議院選挙の投票日。「選挙の主役は私たち(国民)一人ひとりです!」みたいなコピーが各所から聞こえてきますが、結局国民は直接政治家を選ぶのではなく、住まいのある地域で各政党が擁立した候補者を選ばなくてはいけない仕組みです。どの選挙区でどの候補者を擁立するか、各政党とも思惑はあることでしょう。そして立候補している人たちも、“政治家目線”で優秀であるかもしれませんが、投票する国民にとって、本当に信頼して票を預けてよい人なのかは不透明です。

「プロのプロによるプロのための…」がまかり通った結果、色々なところで業界人と国民との間に大きな溝が生まれています。政治家が何を演説しても聴衆の心に響かないのは、このギャップを埋めようとする意志がないから。限られた人数の中で「はい良くできましたねー」と評価され完結してしまう世界なんて、幼稚園のお遊戯会と変わらんレベルですよ。

 

山口探訪記 その②

<前回からの続き>

http://liveupworks.hatenablog.jp/

朝早く目覚めたので自室で作業の続きにとりかかる。土曜日の早朝ということもあり窓の外はとても静か。前日の深酒がたたることなく非常に気持ち良い朝を迎えることができました。

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朝食はうどんの名店「どんどん」。安い値段で色々なトッピングもできておいしいと評判のお店。朝9時の開店ですが、開店前からすでに地元の人で長蛇の列となっておりその人気の高さが伺えます。味は関西風の薄味ベースですがダシがしっかいしていて毎日食べても飽きがこないのもうなづけます。

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そのまま萩市内を回ります。続いては吉田松陰が興した「松下村塾」。とても古い建物ですが、室内の様子を間近に確認することができました。上記写真は松陰が幽閉されていた3畳間の居室。高杉晋作や後の総理大臣となる伊藤博文など後進の指導にあたったのは有名な話。

このあとは旧萩城跡、城下町を見て回りました。城下町はごく限られたエリアですが、高杉晋作木戸孝允の生家もあります。

 

その後は車で下関まで移動。港町の休日ということもありマリーナは大勢の人で賑わっていました。港町であることも関係しているかもしれませんが、和洋折衷の建物やモニュメントも見られ、山陰側の萩とはまた違った趣のある場所です。

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ここ下関では2つ目のコワーキングスペース「UZU HOUSE(ウズハウス)」にお邪魔しました。建築家でありオーナーの沖野充和さんは、割烹料亭が入っていたビル一棟を買い取り大胆にリノベーション。コーワーキングスペースだけでなくカフェ、コミュニティスペース、ゲストハウスの機能も持ち合わせているマルチな場所。建物のすぐ裏手には関門海峡が通り、ゆったりと潮の流れ(と言っても結構海流激しいけど)や、行き交う貨物船や遊覧船を眺めながら仕事ができるなんて、とても贅沢な時間になりそうです。

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沖野さんは地元下関出身。大学進学で上京はしたものの、地元への強い愛着がありこの地で起業する決意を固めたそうです。50床ほどあるゲストハウスは金・土はほぼ満員らしく大盛況。土地柄韓国からのツーリストが多く、私たちがお邪魔したときも1階のカフェや2階コミュニティスペースには多くの外国人の方がいました。

 

最後は、僕のワガママを聞いてもらい美祢市にある「秋芳洞」へ行くことに。数年前からパワースポットとして注目されていた巨大な鍾乳洞です。自然にできた巨大なトンネルはとても壮大で、水の色や洞窟内に響き渡る水流の音は神秘的かつ自然の力強さを感じられるものです。

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写真右上は「黄金柱(こがねばしら)」と呼ばれるもので、天井から滴り落ちた石灰分を含んだ水が何万年という時間をかけて凝固しできあがったものです。いわばつららですね。

エレベーターで地上に出ると、外の世界は広大な「秋吉台」。カルスト台地と呼ばれる地形で、緑の合間に石灰岩が所々顔を出しているのがわかります。国内にもいくつかカルスト台地はありますが、秋吉台は国内最大の規模を誇ります。

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今回の来訪では、①でご紹介した「So-Say Lab.(ソーセイラボ)」で普段やっている仕事を体験しましたが、山口県ではお試しサテライトオフィスの拠点を合計14か所で展開しています。中には古民家を改修したもの、築浅ながら廃校になった中学校校舎をオフィス向けにしたものなど、実に特色豊かな拠点をたくさんあります。1泊2日のスケジュールですべての箇所を見て回ることは不可能でしたが、アクセシビリティやその町・地域の持つ雰囲気など、各人(企業)にあった場所を探して事業の新規開拓に乗り出してみることも、企業価値の向上につながるのかもしれません。

また現地で生まれる人と人、企業同士のつながりというのも、新たな価値の創造に寄与することでしょう。すでに山口県へ進出した企業もいくつかあります。今回そういった事業主からお話を聞く時間が取れなかったことは残念ですが、全国の自治体で同様の活動が活発になってきていることは事実です。今の世の中、やたらとグローバル思考が叫ばれていますが、全国各地に残されているポテンシャルというものも無視できません。国内でしっかりとした地盤を作り、人も会社もともに栄えていくことが、本当の意味で“価値のある”会社として認められていくのではないでしょうか?

 

 

<おまけ>

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松下村塾「東京校」閉鎖のお知らせwwwwww

 

(参考)

うどん どんどん

http://www.s-dondon.co.jp/index.html

松下村塾

  萩市観光協会「ぶらり萩あるき」

uzu house

http://uzuhouse.com/

秋芳洞

特別天然記念物 秋芳洞 |

山口県サテライトオフィスサポートセンター

つながる!ひろがる! OrangeConnect山口県サテライトオフィスサポートセンター

 

 

山口探訪記 その①

先月末に山口県の方へ行ってまいりました。県が行う企業の誘致プロジェクトの一環で、サテライトオフィス(通信環境を整備して、Skypeなどを活用しながら全国に散らばったメンバーとリアルタイムでコミュニケーションしながら仕事ができる施設)の体験就業に参加させていただくことになりました。

地方に住む人や家庭の事情で常時の通勤が難しい人のために、上記のような通信テクノロジーを活用して就業支援を行う株式会社ダンクソフトの板林さん(高校の先輩でもある)、昨年のリブアップワーカーの認知症特集でご登場いただいたブレインケア株式会社代表の山本さん、プラス僕の3人で来訪させていただきました。

参考↓

第16回特集:高齢者の3人に1人が認知症になる時代。日常生活に取り入れるトレーニングで予防につなげる 介護の応援マガジン Live-up works

 

早朝の飛行機に乗り、山口宇部空港に到着したのは午前9時。県の担当者の方のお出迎えでツアーはスタート。まずは山口県庁を訪問しました。

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写真は大正時代に建てられた旧県庁の知事室。昭和59年に重要文化財に指定された歴史ある建物です。現在は県政資料館として稼働しており、一般の方でも入ることができます。

 

昼食を済ませ次に向かったのは、今回のメインでもある萩市にある「So-Say Lab.(ソーセイラボ)」。商店街の一角にできた真新しい建物で、Wi-fiといった通信環境やモニターを通じ映像の交信ができる設備も整っています。僕と山本さんは初めてですが、板林さんは仕事で何度も来ているので、手慣れた様子でPCと通信機器をセットしすぐさま自分の仕事を始めてました…… またこの施設の特徴として、すぐ裏手がモーテルみたいな宿泊所になっているため、オフィスーホテル間の移動を気にしなくて済むのもソーセイラボの魅力でしょう。

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商店街は金曜の午後。やや閑散としていましたが、買い物中の人や学校帰りの中学生などがラボの前を通り、不思議そうに私たちを一瞥していました。従来の商店街にあるような店舗とは一線を画すような場所ですからね。地域の住民から理解され、地域に何かを還元できるようなビジネスになればいいですね。

 

午後も時間があったので、萩市内を軽く見て回ることに。海産物などの生鮮食品やお土産が多数ならぶ「道の駅 萩しーまーと」でお買い物。東京ではめったに見かけないような魚や貝がたくさん売られていて見ているだけでも楽しい。海鮮もののランチが食べられる食堂も併設されています。

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その次に向かったのは「反射炉の跡地」。萩反射炉明治日本の産業革命遺産にも指定されています。かつて長州藩が国防力を高めるために大砲の製造を試みた製鉄所ですが、大砲の鋳造は技術的に相当難しかったらしく、結局この炉で大砲が完成することはありませんでした。

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かなり老朽化が進んでいて、上段のレンガは今にも崩れそう…

 

その後ソーセイラボ裏手の宿泊所に戻り軽く休憩。その後は徒歩2~3分のところにある居酒屋「こづち」で食事。魚のすり身をフライした「魚(ギョ)ロッケ」などのご当地グルメに加え、山芋の天ぷら、焼き鳥や刺身の盛り合わせなどもうまかった! なお焼き鳥はにんにくパウダーを振りかけて食べるのが山口流なんだとか。

最初に注文したウニは絶品。生臭さがなく角が取れたマイルドなうまみが口の中いっぱいに広がります。醤油は九州地方でよく見る甘味のあるものを刺身用に使うのが定番らしいですが、この甘口醤油とウニの相性がホントにバツグンなんです。

地酒の種類も多く、いつもはそんなに飲まない日本酒もグイグイ行きました。視察で来ている以上、二日酔いと頭痛はなんとしても避けたいので(笑)、薄めに作ってもらった「しそサワー」をチェイサーに(笑)、3人で結構なビンを空けたと記憶しております。

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このまま調子に乗って書くと、ただのグルメ日記みたいになってしまうので本日はここまで。翌日も視察と観光が続くので、23時くらいにはラボ裏手の宿泊所に戻り明日に備えるのでした。

つづく

 

(参考)

山口県 旧県庁舎

http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a10600/kensei/top.html

So-Say Lab.(田子みどりのポジティブシンキング WEBサイト)

萩サテライトオフィス「So-Say Lab.」がオープン!|株式会社コスモピア

萩 しーまーと

萩しーまーと

反射炉

http://hagishi.com/search/detail.php?d=100081

お食事処 こづち

http://www.hagishi.com/search/detail.php?d=300054

 

ケアマネジャーが危惧する介護現場

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先日、現役のケアマネジャー(居宅支援のステーション勤務の方2人)を対象にヒアリングする機会がありました。質問項目はいくつかあったのですが、最後に自由記述という形で日々思っていること、問題と感じていることなどを書いていただきました。

そのお二人の意見に共通していたのは、介護現場は疲弊しているので抜本的な解決策が必要だという内容でした。ただお二人が指摘していたのは、介護職の肉体的な疲弊というよりは、入居者の家族がヘルパーに要求するものがあまりに厳しく、ヘルパーが精神的にパンクしてしまっているという点でした。

ご存知のとおり比較的安価な介護保険施設は、特に都心部では入所待機者がウン百人といる状況。そのため少しでも経済的な余裕がある家は有料老人ホームを選択せざるを得ない状況です。ていうかウチもそうです。

最近では入居一時金(アパートでいう敷金みたいなもの)がないホームも増えてきましたが、それでも月々の支払いが厳しい家もたくさんあるはずです。そのような中、家族がどうしてもわがままになってしまい、「こんだけ高いカネ払っているんだから、それくらいやって当然でしょ!」という姿勢の人が少なからずいることを危惧されていました。いま流行りの「モンスター〇〇」というヤツですね。

基本的に家族とヘルパー(事業者)の間に信頼関係がなければよいケアはできないと思います。ていうか世の中の仕事なんてみんなそんなもの。

肉体的なキツさに加えて、賃金や時間的拘束の問題もあります。認知症が進んだ高齢者の場合、本人からドギツい言葉の暴力を浴びせられることもあります。そのような中、たまに訪れる家族からも非難されているようではあまりに現場の職員は救われません。

自分たちが、そして自分の子どもたちが老人になった世界を想像したとき、動けない自分たちの面倒を誰が見るのでしょうか? すべての解決策になるわけではないですが、人に感謝する気持ちは絶対に忘れないでほしい。ここが失われてしまえば「人のために働くこと」そのものに意味がなくなってしまうのですから。