猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

許す者は強いんだ

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先日行われたスペインのサッカーの試合で、バルセロナに所属するブラジル人のダニエウ・アウベス選手が、相手チームの観客席にいたサポーターからバナナを投げられ、そのバナナを拾って食べたことが大きな話題を呼んでいます。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140505-00000031-jij_afp-socc

 

「バナナ」は有色人種を猿に見立てて投げられたものであり、れっきとした人種差別の意図があって行われた行為と言えます。バナナを投げた犯人は逮捕されたのですが、なんと相手チームの下部組織の職員だったことが判明しました。

サッカーの舞台から人種差別を排除しようという機運が世界規模で高まっている中、このようなことが起きたのは非常に残念であり、しかもサッカー関係者による愚行となれば本当に許しがたいことです。

逮捕された男に対して、今後一切の観戦禁止(事実上の永久追放)が命ぜられ、また失職してしまう可能性もあるとのことですが、このことについてアウベス本人は「過ちを改めるチャンスを」「彼にも家族がいる」などと罪の軽減を示唆するコメントをしたのです!

 

私個人の意見としては、関係者による差別は言語道断であり厳罰は当然だと思います。私もイギリスに住んでいたころ、白人の子どもから石を投げつけられたり、バスの中で酔っ払いにケンカを売られ「この中国人が!」などと罵倒されたり、日本に住んでいては考えられないような差別を生まれて初めて受けました。差別を受けた人のみじめな気持ちはとてもよくわかります。

しかし今回の一番の被害者であり、一番傷ついているはずのアウベス選手が相手を寛容する姿勢を見せたことは、何か人種差別問題について一石を投じたかのようにも見えます。犯人を追及することよりも、自分がどう受け止めどういう態度を示すのか。本当の意味での“毅然とした態度”とはこういうことを指すのでしょう。

そして彼はこう続けました。

 

「許す者は強いんだ」

 

私にアウベス選手ほどの”強さ”はあるのでしょうか? アウベス選手の見せた強い意志に心から敬意を表したいと思います。