猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

認知症報道とプライバシー

女優の菅井きんさん(88歳)が認知症で特養に入所しているそうです。

私の世代だと、安達祐実主演のドラマ『家なき子』の意地悪な婆さん役のイメージが強いですかね。あとタモリの『ボキャブラ天国』でスカイダイビングに挑戦させ「菅井ダイビング」なんて無茶やってた記憶もあります(くだらねぇ)。

これはある週刊誌系のメディアによる情報なのですが、記事には、大声で商店のシャッターを叩いたり、駅の改札を抜けようとして駅員に止められたりなど、その行動まで言及されていました。

認知症は事実。ならば報道する自由はあると思うのですが、果たしてその行動まで記事で伝える必要はあったのでしょうか? これは本人ならびに家族にとっても触れられたくない出来事なのではないでしょうか? イギリス元首相のマーガレット・サッチャーや作家の山崎豊子(共に故人)も重度の認知症でしたが、そのことに触れるメディアは少なく、また症状や行動にまで言及してはいなかったと思います。

当初は家族が付き添いでケアをしていたみたいですが、最終的に施設への入所を決められたみたいです。本当に我慢の限界だったのだと察します。家族の苦悩を考えれば、こう易々と記事にはできないものだと思います。

また記事の締めくくりとして「状態が良くなれば仕事に復帰させる」と所属事務所はコメントしていますが、正直、快方に向かう可能性が少ないことを事務所は理解しているのか疑問に感じました。

菅井さん本人と今後を見守っていく家族。当事者たちを最優先に考えた思いやりのある報道、そして責任ある発言ってもう少しできないものかなあと思いました。