政府が「技能実習制度」に介護職を加える方針を打ち出しました。
もともとこの制度は、発展途上国などの人たちに対し、一定期間日本国内の製造業などで働いてもらい、そこで得た実技やノウハウを、将来的に彼ら祖国の経済発展のために活かしてもらおうと創設された制度。
ただし「日本の介護人手不足を一時的に補うためだけの口実だ」と言われたり、人権問題に敏感なアメリカからは「現代の奴隷制度だ」と強く批判されたりもしています。また当然のごとく技能習得以外の目的で来日を目論む人間も出てくることでしょう。不法滞在や犯罪の温床になる可能性も否定できず、入管や警察はもちろん、雇用主も常々目を光らせておかなければなりません。
さて、外国人の介護職参入については去年のLive-up Workerの特集でも大きく取り上げています。(以下リンク↓)
第10回特集:外国人介護士の受け入れで現場はどう変わる? ―基本編 | 介護の応援マガジン Live-up works
第11回特集:外国人介護士の受け入れで現場はどう変わる? ―国別で見る傾向そして今後の展望 | 介護の応援マガジン Live-up works
ただしこの2回の特集で主題としているのは「技能実習制度」ではなく「EPA(経済連携協定)」の方なんですね。
ともに国策でありますが、EPAを通じて来日し介護職として働くには一定以上の日本語能力が求められたり、受け入れ側である施設が渡航費や仲介団体(国際厚生事業団)への手数料などを負担しなければならず、僕もリサーチをしていて「ホントこんなんで手を挙げる施設があるのかよ?」と心配になったものです。
確かにハードルが高すぎる感のあるEPAとは別に技能実習制度という選択肢が増えたことで、受け入れを前向きに考える事業者が増えるかもしれません。また将来的に交換留学のように日本人が海外に赴いて技能を伝授するケースや、優秀な外国人をそのまま正社員採用するといったケースも出てくるかもしれません。
介護業界では外国人の参入に難色を示す人も多いですが、ダメな理由ばかり探して反対するよりも、少しでも道が拓ける可能性に懸けてみるのも悪くはないと思います。