猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

後継者選び

「俺はあと数年できっぱり(会社を)辞める」

僕が6年ほど前に勤務していた広告代理店の社長の言葉。しかし久々に会社のHPを見てみると、いまだに代表取締役のところに名前が載っています。

実際もう70歳近く。なんだ結局会社に居座っているんじゃないかと一瞬思ってしまいそうですが、実際は違う。安心して会社を任せられる後継者がいない。それだけのことだと思いました。

話は変わって、ソフトバンク孫正義社長が、インド国籍で元GOOGLEナンバー2のアローラ氏を副社長に就任させることを同社株主総会で発表しました。また将来自分の後任に据えるつまり次期社長であることも打ちあけたとのことです。

従来の日本企業では、副社長など取締役の中から次期社長をプロモートさせるのが慣習となっていました。つまり今回は孫社長の御眼鏡にかなう後継者が社内に居なかったということになります。現経営陣の中には、今回の決定を面白く思わない人もいるでしょうね。でもこれだけの短期間でモンスター企業に成長した会社ですから、相応の手腕を持った人物でなければ会社を任せられない。成長・変化が目まぐるしいIT業界ですから、アローラ氏が会社をどう先導していくのか不透明な部分は多いとは思いますが、孫社長の英断は指示されるべきでしょう。

こうやって他企業から経営ポストの人間がやってくるというのは、徐々に日本企業におおいてもスタンダードなものになってきています。日本の大企業、また大企業とまでは言わないが少しは名の知れている企業が、これまで何の縁もなかった福祉や介護といった分野に参入してくるようになってきた現在、親会社の出世レースから弾き出された人間が、流刑地のごとく福祉・介護系子会社の役員に就任することも起きてくるでしょう。

ソフトバンクほど慎重になる必要はないかもしれませんが、きちんとしたビジョンと知識を持った人間を選ばなければ、現場のスタッフからの信頼が失われ、大きなモチベーション低下につながります。どの業界においても後継者選びは難しい選択ですが、人選を誤れば船は大きく傾きやがて沈んでしまうことでしょう。