前回からの続き
http://liveupworks.hatenablog.jp/entry/2019/04/08/144804
前日の夜行バスでの移動で疲れていたのか、この夜は非常にグッスリ眠れました。朝の高知市内は雨がパラつくあいにくの天気。とまり木ホステルを後にして午前中は市内観光。路面電車の1日券を購入し高知城へ。
目的地に着いたころには、すっかり雨も止み晴れ空に。バリアフリーとはおよそ縁遠い急な階段(というよりはしごに近い…)を登り天守閣へ。日本各地の城へは何度か行ったことはありますが、恐らく天守閣まで登ったのは今回が初めてのような…… いずれにしろ素晴らしい景色で、しばし殿様気分を味わう。
再び高知駅に戻り、特急に乗り込み次の目的地へ。実は今回、旅行先に高知を選んだのは、一昨年、仕事で隣接する徳島県に行ったときにご一緒させていただいた「港のネコとおばあちゃん」代表の井川愛さんが活動する「矢井賀」を来訪するためです。井川さんのプロジェクトは、漁港で余った魚を加工しネコのエサとして販売するもの。製品を製造するにあたり地元の女性をスタッフとして雇用。食糧残滓の有効利用と地域雇用を両立するものです。
土佐久礼駅のホーム
JR線の土佐久礼(とさくれ)駅で下車。時間は16時近くですでに日も傾きかけていて、駅のプラットフォームから見渡す辺りの景色はとてもさみしいもの。車で迎えに来ていただき、目的の矢井賀まで向かうことに。車に乗り込む前、「大西さん、ネコアレルギーない? 大丈夫?」と聞かれましたが、車内には避妊手術を終えたばかりのケージに入ったネコがいました。野良ネコの繁殖を防ぐために、理解のある獣医のもとへ出向き、定期的に去勢・避妊手術を行う手伝いをしている井川さん。この日お仕事は休みだったみたいですが、公私関係なくネコのためにも地元住民のためにも東奔西走する情熱はすばらしい!
さて、井川さんの住む矢井賀は、土佐久礼からさらに山を2つ越えたところにある集落です。「本当にビックリするくらい何もないよ!」と事前に脅されて(笑)いたものの、着いてみると想像よりもさらに閑散としていました(失礼)。
まず商店が一つもない。郵便局や銀行もない。かろうじて飲み物の自販機が2台あるだけ(吉幾三の歌かよ)。かつてはいくつかお店があったらしいのですが、現在はすべて店じまいしてしまい、買い物は車で隣町まで行くようです。
「おきゃく」で地元の美味に舌鼓。写真右は小嶋さん製作の薪ストーブ
今夜の宿は、井川さんから紹介された「おやまどり」という場所。「おやまどり」は地元で働く小嶋さん夫妻が始めたゲストハウスで、ホテルや民宿のない矢井賀を訪れる人たちへ泊まる場所を提供するために、敷地内にある一軒家を宿として開放しているのです。
夜は小嶋さん夫妻や井川さんたちが「おきゃく」と呼ばれる歓迎会を開いていただきました。「おきゃく」は高知弁で宴会を意味する言葉で、親戚や友人などを招き、一緒にお酒の席を楽しもうという風習があるそうです。この日は小嶋さんの娘さんの彼氏(フィアンセ?)が釣ってきた魚や地鶏の寄せ鍋などを楽しみました。宴もたけなわで明日に備え早めに床に着くことに。1月の山奥の夜はとても静かで底冷えのするものです。時折、野生の猿のけたたましい鳴き声が夜空に響く中、布団で丸まり朝を待つのでした。
つづく