猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

映画『サファリ』を観て

先日の久々の休みの日、渋谷までドキュメンタリーの映画を観に行ってきました。最近はアウトプットばかりでいい加減スッカラカンのカッピカピ状態になってきていたので、よいリフレッシュになりました(笑)。

f:id:liveupworker:20180206183935j:plain

『サファリ』はオーストリアのウルリヒ・ザイドル監督が手がけた作品で2016年に公開されました。今回日本で上映された経緯ですが、高校時代の友人である配給元のサニーフィルム代表の有田君(写真左)が直接制作サイドにオファーを出してやっと日本での上映が実現したようです。僕は正直映画ビジネスに関しては疎いのですが、一つの作品を上映するまでに多大な時間とコスト、マンパワーを要することは知っています。「どうしても日本で上映すべき作品」という彼の熱いコメントを見て、なんとなくではあるけどこの映画を観たい気持ちに駆られていきました。

テーマはアフリカのサバンナで繰り広げられる狩猟(トロフィー・ハンティング)。合法的な狩猟とされているが、裕福層である白人たちによる、あくまで“趣味の”域で行われている殺害行為です。

約1時間半の上映時間のほとんどが、ガイドに付き添われ狩猟をする客に密着しているシーンのみです。

遠くの位置から獲物である動物をねらいライフルの引き金を引く。双眼鏡でターゲットが倒れたのを確認してからその場所へ向かう。死亡を確認した後、倒れた動物と記念撮影を行う。狩りには親子で来ている者、恋人同士で来ている者。老夫婦。途中挟まれるインタビューのシーンでは、目的の動物の名を上げたり、それら動物の値踏みをしたり、使用する銃のスペックに対するこだわりを語ったりと、そこに「殺害」に対する自責や憐憫の色は一切ない。しかも「(病気で)弱った動物を間引くことは繁殖を手助けすることにもなる」と開き直ってさえいる。

僕自身、こんな蛮行に面白みを感じないし、心底無駄な殺生だと思います。しかし観光・ガイドとしての収入源となるほか、食肉や毛皮としても再利用されるなど、現地の人たちの生活の大きな手助けになっているのも事実。始めは「許せない」という思いが強かったが、観ている途中で「牛や豚、鶏の殺生と何が違うのか」「動物はNGで魚(釣り)はOKのその根拠は?」といった具合に、結局は「多くの命の犠牲の上に我々人間の命は成り立っている」という、誰もが目を伏せる当たり前の事実を突きつけられ、自分も間接的にその行為に加担しているということを痛感しました。

途中キリンを解体するシーンも出てきますが、不思議と目をそらすことなくスクリーンに集中することができました。

映画の最後の方で出てきた、印象に残ったハンターたちのコメント

「人間がピラミッドの頂点に居ることが一番の問題だ」
「世界は人間が増えすぎてしまった」

自己弁護が得意な欧米人らしいコメントだが、やはり彼らにも罪の意識はあるようだ。

 

www.movie-safari.com