猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

人生100年時代ってマジですか…?

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最近「人生100年時代」という言葉をよく耳にします。

医療や衛生環境、食生活が大きく改善されたことにより、日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えました。長寿命化にともない、長くなった余生を充実かつ安心して乗り切るために、金融や保険も「人生100年時代」を謳い文句にあの手この手で商品を展開し始めています。首相官邸のHPでも大きく紹介されていますね。

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確かに平均寿命が延びているのは事実でしょうが、正直「100年」という数値には疑問を抱いてしまいます。今現在の高齢者は、多くが戦争もしくは戦後の貧しい時期を経験している人たちで、粗食で健康な体づくりに努め、ガンなどの病因となる環境汚染物質にもさほど触れずに生きてきた人たちです。

しかしこれから高齢期を迎える人たちは、言ってしまえばもっとユルい環境下で生きてきた人たちで、いくら医療や食生活が良くなったからといって、きちんと長生きできる素養がともなっているとは思えません。

先日骨折で入院している祖母のお見舞いに行ってきました。祖母は90歳。認知症の進行もあり、骨も弱っているので、これまで何度も入退院を繰り返しています。これまで介護をしてきた母も「(長生きでも)生きているのではなく、生かされているだけなんだよね」とポツリと嘆いてました。

今国を挙げて「介護予防」に取り組んでいるのはご存知でしょうが、病気やケガ、認知症と無縁で100歳を迎えられる人なんてまずいないでしょう。これが現実なのに「100歳まで元気」「生涯現役」「最期まで自分らしく」といった根拠のないポジティブな言葉が目立ち、「人生100年時代」は数値だけが独り歩きして、そこにたどり着くまでに待ち構えている困難を排除しているような気がします。

誰しも独力で高齢期を乗り越えることは難しいでしょう。見守る家族、介護スタッフ、いずれの手も足りていないのに、“ただ生かされているだけ”の100歳が増える世の中を、一体どれくらいの人が想像し危機感を抱いているのでしょうか?