猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

「大手だから安心」実は危ない説

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有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅ポータルサイトに関する仕事をいただくようになってからずいぶんと経ちます。どんなキーワードを入れて検索しても、上位に来るのはやはり大手資本のところが多い。大手は当然広告費にお金がかけられますからね。

これから終の棲家を探す世代は、高度経済成長期にバリバリだった世代。そういった年代の人たちは、一部上場企業の肩書に弱いところがあり、“名前の通っている大手系列のホームだったら安心”という先入観もあると思います。しかし色々な方面の人に話を聞くと「大手=良質な介護、サービス」とは限らないみたいです。

閑話休題。先日東京の五反田で起きた、遊休地買い上げの巨額詐欺事件。ハウスメーカー大手の積水ハウスが55億円ものカネをだまされた事件がありましたね。普段TVを観ない僕ですが、この事件を取り上げた日の『報道ステーション』はたまたま観ていました。

そのときの報道で知ったのですが、犯人グループは積水ハウスに話を持ちかける前に、地場の不動産業者にも声をかけ商談の席を設けていたのです。しかしあまりのビッグディールに、業者は相当疑い深くなっていました。雑談の際に、「GWはどこか行きましたか?」と質問し、犯人が「田舎の〇〇へ帰省していました」と返したところ、「地元で何十年も事業(旅館)をやっているのに、別に故郷があるのはおかしい」と勘繰り、この取引を辞退したそうです。

このやり取りを見ていて思ったのは、中小の企業が、仮に数十億円の損失をしようものなら会社の存続自体が成り立たたなくなってしまうという危機感を第一に持っていたということ。つまり一獲千金のチャンスよりも、会社の存続というリスク回避が本能的に先んじたことになります。

一方で騙された積水ハウスの担当者は「他社にこの話を持って行かれたくない」という思い、そしてビッグディールを成立させて、社内でも一目置かれ、出世争いでも一歩リードしたいという気持ちが強かったのでしょう。この一件の担当者は恐らく引責退職している(少なくとも自分だったら会社にこれ以上居られないと考える)とは思いますが、同時に「仕事で失敗しても誰かがケツを拭いてくれる」という邪心というか甘さもあったと思います。こういった組織構造はやはり大手ならではの弱点と言えるかもしれません。

組織は大きければ大きいほど不満分子を抱える人間、そして教育や管理の行き届きが難しくなった結果、重大なミスや違反を犯してしまう人間は増えてきます。一方で中小は、経営者のカラーが色濃く出るため、そのスタイルに合う人・合わない人が生まれ、どうしても似た者同士で徒党を組んでしまう傾向にあります。福祉・介護の世界に置き換えても、どちらも問題であり、どちらの施設がベターだという正解はありません。

働く人、そして利用する人。自分から見て利害のある人がどのような人間であるかをよく見極めて商品購入やサービスの利用につなげなくてはいけないなぁと。金額が大きいほど、労力を要するほどその“目利き”は重要なものになってきますね。