猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

「死にたい」と言われたら

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先月の登戸の殺傷事件後に、「死ぬなら一人で」論争が巻き起こりましたね。
誰かを巻き込むこと自体論外ですが、毎日のように電車の人身事故のニュースを耳にしていると、自分の命を粗末にするような人は他人の命すらも軽んじてしまうのでしょう。


「もうこれ以上長生きしたくない。早く死んでしまいたい」

高齢者の多くが言うセリフ。こう言われた場合、恐らく周囲にいる9割の人は「そんなこと言わないでください。まだまだ長生きしてください」と答えるでしょう。

その返しは無難であり、やさしさに満ちた回答と言えるかもしれません。

しかし、年齢を重ねて「死にたい」と感じるのは、何十年も生きてきたその人の境地であり、安易に周囲が否定することはできないと思います。

とある老健に勤めるヘルパーは、入居者に「死にたい」と言われたとき、あっけらかんと「じゃあ、死ねば」と返したそうです。仮にボイスレコーダーに言質を取られてSNSとかに流失でもしようものなら大問題になることでしょう。

恐らく「死にたい」と言う高齢者は、誰かがそれを否定してくれることで、自分という存在価値を再確認し安堵を覚えるケースと、本当に死にたいと思っていて、他人がそれに同調してくれることでカタルシスを感じるケースがあるように思います。

「死にたい」という人の本心はその人でなければわからない。安易に同調すれば本当にその人を傷つけてしまうかもしれませんが、否定することも結構無責任だと思います。家族にしても介護士にしても、大多数の人がそういう態度を取っているのではないでしょうか?

「じゃあ、お前がそう言われたらなんて答えるんだ?」と言われたら、……さあ、なんて答えよう(汗)

でも高齢者が何かしらメッセージを発するということは、それを誰かに聞いてもらいたいという欲求があると思います。その場で白黒つける必要は決してなく、話の前後も含めて、まずはその人が何を伝えようとしているのかを知ることが大事なのかなと思います。あなたが信頼されているのなら、どのような回答でもきっとそれが「正しい答え」になると思いますよ。……多分(汗)