猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

ひな人形の正しい位置はどっち?

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ひな人形を模したかわいいイラスト(Yahoo!JAPANの公式キャラクター「けんさくとえんじん」)。このイラストを見た人が、twitterに「男女の座り位置が逆ではないか?」と指摘していました。

確かに男びなが下座(向かって左側)で、女びなが上座(同、右側)が一般的なイメージでしょうか。

実はこのイラストの座り位置、日本の伝統から言えば“正しい”ものです。

古くから日本では上座が上席とされ、身分が上の人が鎮座する場所と決まっています。そのため、公家が夫婦で並ぶ際は男性が(向かって)右側、その妻が左側と決まっていたようです。実はこのひな人形の座り位置については、かつて僕が運営していた『Live-up Worker』WEBサイトの「今昔百科事典」というコーナーで取り上げたことがあるので詳しかったりします(笑)。

ひな人形については、僕が住む関東や東日本、北日本では「男びな(向かって)左」が定説となっていますが、今でも京都など西日本側では「男びなが(向かって)右」に置くのが一般的なようです。

そこで思うのは、どうして左右が逆になったのか? というギモン。これは実は大正天皇が関係しています。

大正天皇は自らの即位の際、写真撮影のときに下座に立ってしまったため、以後、公の場の立ち位置もいつの間にか逆になり、それが定着していったと考えられています。大正天皇が何も考えずに立ち位置を誤ったのか、それとも西洋では一般的な“男性が(向かって)左”という世界基準に追従する形で、これまでの伝統にあえて逆らったのかはわかりません。それでも、男女平等や性差の撤廃が声高に叫ばれている現在、男女の立ち位置の“決まりごと”をいち早く取り払った大正天皇の判断は、今に思えば正しいものだったのかもしれません。

あ、ちなみにバンドだとギタリストが上座、ベーシストが下座が定説となっていますが、これはビートルズの影響が強いと言われています。ベーシストのポール・マッカートニーが左利きで、下座だとベースのネックがステージの外側に向くので、客席から見ると上座にいるギター(ジョン・レノン)とベースのネックが翼を広げた形に見えて
見栄えが良いからです。そして、このビートルズの立ち位置が現在のバンドに引き継がれているのです(Boφwyやリンドバーグみたいにギターが下座のバンドもあるけど)。

これからの時代、古い時代のしきたりを引きずって、周囲に気を遣うのもなんだか馬鹿らしいな~と思います。そんな僕はエレベーター内での立ち位置ルールとかいまだによく理解していません(笑)。そんなことで神経すり減らすのはゴメンだ。