猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

100歳の誕生日

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新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

さて、1月3日は僕の祖父の誕生日。僕が中学2年生のときに他界しているのですが、もし生きていたら100歳の誕生日を迎えたことになります。

亡くなる数年前に脳出血を起こしてしまい、その後リハビリを重ね、大好きだったお酒も絶ち、順調に回復してきました。しばらくの間、気分転換も兼ねて我が家で暮らしてもらうことになりました。

そんなある日、TVでアニメを観ていてなかなか風呂に入らない僕に対して、「啓介、お風呂できたぞ。入ってきな」と繰り返す祖父。「ちょっと待ってよ、いまいいところだから」と断ると、そのまた数分後に同じことを繰り返す。そのうち僕がキレてしまい。「うるさいな! 後で入るって言ってんだろ!」と祖父を怒鳴りつけてしまいました。

孫に怒鳴られたのがショックだったようで、急にシュンとして、そこから何も言わなくなりました。

その後、杖を突きながら歩けるまでに回復し、入院中だった祖父の兄の見舞いを一緒に行くことに。怒鳴ってしまったことを本当に申し訳なく思っていた僕は、そのときに謝ろうと思っていましたが、なかなか切り出せず、大した会話も交わせないまま途中駅で別れました。これが永遠の別れとなることも知らずに。

今思えば、同じことを繰り返し言うのは脳血管性認知症の症状だったと思います。でも当時そんな知識もなかった。仕方なかったとは言え、謝罪できなかったのは本当に心残りなんです。

今の元気な高齢者を見ていると、享年71歳は早世だったと思います。戦争も含め本当につらい時代を過ごし、今日の私たちが平和に暮らせる日本の土台を作ってきた世代。許されるのならば、改めて伝えたい。「ごめんなさい、そしてありがとう」と。