猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

東京オリンピックエンブレムの盗作疑惑について

2020年東京五輪のエンブレムに盗作疑惑がかけられているデザイナーの佐野研二郎氏。エンブレムは別の物に変えるべきだという世論に対し、盗作の事実は無く変更の予定はないとJOCがコメントしたことでさらに収拾がつかなくなっている事態です。

 僕はクリエイティブ関連の方々とお仕事でもプライベートでも付き合いがあります。その中にはデザイナーの人もたくさんいます。今回の五輪エンブレム盗作騒動で「デザイナー」と呼ばれる人たちが大きな誤解を受けてしまっているような気がします。そこの誤解をちょっと解くと同時に僕個人の意見を言わせていただこうと思います。

 

一連のニュースで「盗作」だの「パクり」などと騒がれていますが、デザイナーという仕事は、今回のエンブレムのようにゼロからの創作を求められるものもあれば、(同じく疑惑のあった)トートバッグやポスターのように、すでに有り物の素材を組み合わせたりアレンジするプロセスもあります。後者の場合そこに用いられる素材を一から創作する義務は求められません。サントリーのトートバックの件は、他作品を転用したという結果で佐野氏サイドが謝罪するという落としどころになりましたが、普通に業界内の常識に則って仕事をしただけだと思います。商業レベルで言えば、後者のような仕事の方が圧倒的に多いんですよね。

 ゼロから創作を求められる場合でも、独創性が評価される芸術家とは異なり、デザイナーには、特に商業デザインの場合、複雑さや難解さよりも親しみやすさ、わかりやすさが求められます。シンプルになればなるほどオリジナリティを出すのは難しく、過去のデザインに似てしまうのは仕方ないことだと思います。

 僕みたいな素人目で見ても類似がわかる今回のエンブレムですが、本当にパクって多額の報酬を得ていたのらなら許せない話。でも本人が「盗作です」と認めるはずはないでしょうし、JOCが声明しているとおり変更せずにこのままいくのではないかとは思います。変更してしまえば選考委員が機能していなかったことを証明してしまうことになるし、彼らとしては自分たちの沽券は守りたい。また開催は5年も先だし、そのころにはみんなどーでもよくなっているんじゃね? と、うやむやになることを目論んでいるJOCの人たちの姿が目に浮かびます。

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