猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

高校サッカー選手権の決勝に思う

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2021年全国高校サッカーの決勝戦。家で仕事しながらテレビ観戦していました。

優勝候補NO.1の青森山田高校(青森)と11年ぶりの優勝をねらう山梨学院(山梨)との対戦になりました。気合を前面に出す青森山田に対し山梨学院は常に冷静に相手をいなすといった印象。絶対的な優勝候補を前に防戦一方ながら、特にディフェンスラインを低くして守備する形でもなかったので、サイドの深い位置へひっきりなしにボールを放り込まれ苦しい展開が続いていました。それでも山梨学院は少ないチャンスをモノにしてスコアは2-2のまま延長戦へ。そしてPK戦へともつれこみました。

正直僕はサッカー経験者でもなく、まったくのド素人なんですが、PK戦になった途端、これまで闘志に満ちていた… というか、100%優勝を信じて疑わなかった青森山田の選手たちの顔つきが怪しくなるのがわかりました。

青森山田は圧倒的な攻撃力で決勝まで大量得点で勝ち進んできたチーム。対照的に、山梨学院は2度のPK戦を経るなど苦戦しながら駒を進めてきたチーム。もちろん青森山田の選手たちもPKの練習は普段からやっているでしょうが、実践でPKを勝ち進んできた相手に対し、未経験の世界に急に引きずり込まれた選手たちに焦りがあったことは
画面を通じて明確にうかがえました。PK戦の途中でも山梨学院の選手たちは常にリラックスした表情でしたが、青森山田の選手たちは全員苦しい表情に満ちており、実際、PKを外した2人目の選手は、まだ決着していないにもかかわらず号泣していました。この時点で勝負あったなと。あれだけ強力だったチームが最後の最後の最後でここまで脆く、あっけなく崩れるものなんだと、かえって感心してしまいました(頑張った選手たちには失礼だけど)。

試合自体は決勝にふさわしい見ごたえのある内容でした。ただし気になったのが、青森山田の選手たちは相手のファウルを露骨に審判にアピールしたり、不服な判定に対し審判に怒号を飛ばすなどの行為が見られたこと。特に今大会は新型コロナウイルスの関係から無観客試合で開催していることもあり、グラウンドやベンチからの肉声がダイレクトに拾いやすくなっているため、はっきりと聞こえました。「勝ち」にこだわってやっている以上、ナーバスになるのはわかるけど、高校生のスポーツとしてあのような態度は見ていて気持ちいいものではないですね。また、後から読んだネット記事でわかったことですが、青森山田の監督も山梨学院のスローインの際に邪魔をするなど非紳士的な行為に及んでいたようです。

観たいのは「強いチーム」ではなく「良いゲーム」

「勝つことが絶対」と頑なに信じてプレーすることはよいことですが、勝利至上主義によって対戦相手への敬意を欠くことがあるようでは、学生スポーツの意味はないと思います。すべてのスポーツにおいて言えることですが、学生スポーツファンが観たいのは「強いチーム」ではなく「良いゲーム」です。そして、悪い印象は勝利の感動よりも記憶に強く残ってしまうものです。このあたりを肝に銘じて、学生スポーツに携わる大人たちは子どもたちへの指導をキチンと行ってほしいなと思いました。

あと青森山田の黒田監督って誰かに似ていると思ったら……

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「♪勝ちが~すべ~てさ~ 今~こそ~誓うよ~」とならないことを切に願います。私からは以上です。