この業界で働く人ならば一度は名前を耳にしたことがあるでしょう。北海道の特養「緑風園」の施設長を務める菊地雅洋さんの著書。菊地さんがブログで綴っていた内容や、同サイトに寄せられた質問や相談内容に加筆をして上梓された本です。ワタクシ大西、2年前に読んだのですが、インフルエンザで休んでいる間に、勉強の意味も含めて再読しました(笑)。
この本の元になったブログは現在、一日約3000件を超えるアクセスがあり、集められた質問や相談に菊地さん自身が懇切丁寧にアドバイスをしています。彼のカリスマ性もさることながら、いかに多くの介護従事者が日々煩悶しながら仕事に打ち込んでいるんだなと感じ取ることができます。
同時にブログをパッと見て思うのは、「〇〇は法律上問題ないですか?」といった法令上にからんだ質問が実に多いこと。この手の質問をぶつけるのは恐らく経営者か管理者クラスの職員でしょう。法令関係なんて人に聞かずとも調べればすぐにわかりそうなものですが、白黒はっきりしないあいまいな状態のまま物事が進められている現場がたくさんあるゆえ、確認の意味も含めてこういった質問が寄せられているんだなと思いました。
菊地さん自身も「法令遵守は法令理解から」と同著で述べられています。経営者は福祉分野の知識だけでなく、労務や財務の知識も求められます。もちろんそれらが完璧にこなせないからこそ、社労士や税理士、コンサルタントといったスペシャリストがいるわけですが、やはり「自分の城は自分で守る」といった気概は必要なのかなという気がします。
法令関係の話からヘルパーとしての心得、将来のビジョン、あと現場での利用者とのエピソードなども掲載されているので、この業界で働く人なら一読して決して損はない内容だと思います。
まあちゃっかりサインはもらってるんだな(笑)。