イギリスのオーディション番組で、一躍世界でも有名になった「とにかく明るい安村」。
過去にも日本の芸人が何度か出演したことがある番組なので、さほど驚きはありませんでしたが、彼の自己紹介のシーンで、ちょっと気になったことがありました。
自己紹介の場面で、自分の名前である「安村(Yasumura)」ではなく、「とにかく(Tonikaku)」とだけ紹介していたことです。その後、審査員たちからは「トニー」とか呼ばれていたみたいですが、このアピールは実に見事というか、戦略的だなと思いました。
意外と日本語の単語って、外国人相手でも通用する場面が多いのです。イギリスにいたときの話ですが、「Sake(日本酒)」「Yakuza(ヤクザ)」とか、あと「Futon(ふとん)」も日本語で通じます。みかん(オレンジでなく温州みかん)は、苗種のルーツから「Satsuma(薩摩)」と呼ばれています。
3月のブログでも触れた「おまかせ(Omakase)」も同様でしょう。
https://liveupworks.hatenablog.jp/entry/2023/03/12/182806
世界には、何かインパクトのある日本語を、あえて日本語そのままで覚えてもらおうという風潮があります。特に顕著なのが日本食レストラン。僕が住んでいたブライトンでは「Moshi-Moshi(もしもし)」という店が有名でしたし、ざっと検索しただけでも「Murasaki(紫)」「Wagamama(わがまま)」「Shogun(将軍)」とか色々出てきました。
安村さんの場合、外国人にとって慣れにくい苗字(向こうでは年齢に関係なく下の名前で呼ぶのが一般的)でなく、日本人が多用する「とにかく」という言葉で自らをブランディングしたわけです。初めての海外挑戦を前に、しっかりと準備して挑んだことがわかりますね。
あと、「もしもし」から察するように、意味そのものよりも響きが面白くてウケるケースも多いのです。僕が留学中、スペイン人の女の子2人から、「ち○ちんペ○ペロ」と言われたことがあります。意味はたぶん知っているのかとは思いますが(笑)、とにかく彼女たちにとってはその響きが面白かったようです。さすがに「ちんち○ペロペ○」じゃ芸名や店の名前には使えないですけどね。