猿一匹 酔って候

介護の現場で働く人たちのための応援WEBマガジン「Live-up Worker」(リブアップワーカー)編集長大西のブログ。活動記録や日々思ったことなど綴っていきます。

山口探訪記 その②

<前回からの続き>

http://liveupworks.hatenablog.jp/

朝早く目覚めたので自室で作業の続きにとりかかる。土曜日の早朝ということもあり窓の外はとても静か。前日の深酒がたたることなく非常に気持ち良い朝を迎えることができました。

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朝食はうどんの名店「どんどん」。安い値段で色々なトッピングもできておいしいと評判のお店。朝9時の開店ですが、開店前からすでに地元の人で長蛇の列となっておりその人気の高さが伺えます。味は関西風の薄味ベースですがダシがしっかいしていて毎日食べても飽きがこないのもうなづけます。

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そのまま萩市内を回ります。続いては吉田松陰が興した「松下村塾」。とても古い建物ですが、室内の様子を間近に確認することができました。上記写真は松陰が幽閉されていた3畳間の居室。高杉晋作や後の総理大臣となる伊藤博文など後進の指導にあたったのは有名な話。

このあとは旧萩城跡、城下町を見て回りました。城下町はごく限られたエリアですが、高杉晋作木戸孝允の生家もあります。

 

その後は車で下関まで移動。港町の休日ということもありマリーナは大勢の人で賑わっていました。港町であることも関係しているかもしれませんが、和洋折衷の建物やモニュメントも見られ、山陰側の萩とはまた違った趣のある場所です。

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ここ下関では2つ目のコワーキングスペース「UZU HOUSE(ウズハウス)」にお邪魔しました。建築家でありオーナーの沖野充和さんは、割烹料亭が入っていたビル一棟を買い取り大胆にリノベーション。コーワーキングスペースだけでなくカフェ、コミュニティスペース、ゲストハウスの機能も持ち合わせているマルチな場所。建物のすぐ裏手には関門海峡が通り、ゆったりと潮の流れ(と言っても結構海流激しいけど)や、行き交う貨物船や遊覧船を眺めながら仕事ができるなんて、とても贅沢な時間になりそうです。

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沖野さんは地元下関出身。大学進学で上京はしたものの、地元への強い愛着がありこの地で起業する決意を固めたそうです。50床ほどあるゲストハウスは金・土はほぼ満員らしく大盛況。土地柄韓国からのツーリストが多く、私たちがお邪魔したときも1階のカフェや2階コミュニティスペースには多くの外国人の方がいました。

 

最後は、僕のワガママを聞いてもらい美祢市にある「秋芳洞」へ行くことに。数年前からパワースポットとして注目されていた巨大な鍾乳洞です。自然にできた巨大なトンネルはとても壮大で、水の色や洞窟内に響き渡る水流の音は神秘的かつ自然の力強さを感じられるものです。

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写真右上は「黄金柱(こがねばしら)」と呼ばれるもので、天井から滴り落ちた石灰分を含んだ水が何万年という時間をかけて凝固しできあがったものです。いわばつららですね。

エレベーターで地上に出ると、外の世界は広大な「秋吉台」。カルスト台地と呼ばれる地形で、緑の合間に石灰岩が所々顔を出しているのがわかります。国内にもいくつかカルスト台地はありますが、秋吉台は国内最大の規模を誇ります。

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今回の来訪では、①でご紹介した「So-Say Lab.(ソーセイラボ)」で普段やっている仕事を体験しましたが、山口県ではお試しサテライトオフィスの拠点を合計14か所で展開しています。中には古民家を改修したもの、築浅ながら廃校になった中学校校舎をオフィス向けにしたものなど、実に特色豊かな拠点をたくさんあります。1泊2日のスケジュールですべての箇所を見て回ることは不可能でしたが、アクセシビリティやその町・地域の持つ雰囲気など、各人(企業)にあった場所を探して事業の新規開拓に乗り出してみることも、企業価値の向上につながるのかもしれません。

また現地で生まれる人と人、企業同士のつながりというのも、新たな価値の創造に寄与することでしょう。すでに山口県へ進出した企業もいくつかあります。今回そういった事業主からお話を聞く時間が取れなかったことは残念ですが、全国の自治体で同様の活動が活発になってきていることは事実です。今の世の中、やたらとグローバル思考が叫ばれていますが、全国各地に残されているポテンシャルというものも無視できません。国内でしっかりとした地盤を作り、人も会社もともに栄えていくことが、本当の意味で“価値のある”会社として認められていくのではないでしょうか?

 

 

<おまけ>

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松下村塾「東京校」閉鎖のお知らせwwwwww

 

(参考)

うどん どんどん

http://www.s-dondon.co.jp/index.html

松下村塾

  萩市観光協会「ぶらり萩あるき」

uzu house

http://uzuhouse.com/

秋芳洞

特別天然記念物 秋芳洞 |

山口県サテライトオフィスサポートセンター

つながる!ひろがる! OrangeConnect山口県サテライトオフィスサポートセンター

 

 

山口探訪記 その①

先月末に山口県の方へ行ってまいりました。県が行う企業の誘致プロジェクトの一環で、サテライトオフィス(通信環境を整備して、Skypeなどを活用しながら全国に散らばったメンバーとリアルタイムでコミュニケーションしながら仕事ができる施設)の体験就業に参加させていただくことになりました。

地方に住む人や家庭の事情で常時の通勤が難しい人のために、上記のような通信テクノロジーを活用して就業支援を行う株式会社ダンクソフトの板林さん(高校の先輩でもある)、昨年のリブアップワーカーの認知症特集でご登場いただいたブレインケア株式会社代表の山本さん、プラス僕の3人で来訪させていただきました。

参考↓

第16回特集:高齢者の3人に1人が認知症になる時代。日常生活に取り入れるトレーニングで予防につなげる 介護の応援マガジン Live-up works

 

早朝の飛行機に乗り、山口宇部空港に到着したのは午前9時。県の担当者の方のお出迎えでツアーはスタート。まずは山口県庁を訪問しました。

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写真は大正時代に建てられた旧県庁の知事室。昭和59年に重要文化財に指定された歴史ある建物です。現在は県政資料館として稼働しており、一般の方でも入ることができます。

 

昼食を済ませ次に向かったのは、今回のメインでもある萩市にある「So-Say Lab.(ソーセイラボ)」。商店街の一角にできた真新しい建物で、Wi-fiといった通信環境やモニターを通じ映像の交信ができる設備も整っています。僕と山本さんは初めてですが、板林さんは仕事で何度も来ているので、手慣れた様子でPCと通信機器をセットしすぐさま自分の仕事を始めてました…… またこの施設の特徴として、すぐ裏手がモーテルみたいな宿泊所になっているため、オフィスーホテル間の移動を気にしなくて済むのもソーセイラボの魅力でしょう。

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商店街は金曜の午後。やや閑散としていましたが、買い物中の人や学校帰りの中学生などがラボの前を通り、不思議そうに私たちを一瞥していました。従来の商店街にあるような店舗とは一線を画すような場所ですからね。地域の住民から理解され、地域に何かを還元できるようなビジネスになればいいですね。

 

午後も時間があったので、萩市内を軽く見て回ることに。海産物などの生鮮食品やお土産が多数ならぶ「道の駅 萩しーまーと」でお買い物。東京ではめったに見かけないような魚や貝がたくさん売られていて見ているだけでも楽しい。海鮮もののランチが食べられる食堂も併設されています。

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その次に向かったのは「反射炉の跡地」。萩反射炉明治日本の産業革命遺産にも指定されています。かつて長州藩が国防力を高めるために大砲の製造を試みた製鉄所ですが、大砲の鋳造は技術的に相当難しかったらしく、結局この炉で大砲が完成することはありませんでした。

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かなり老朽化が進んでいて、上段のレンガは今にも崩れそう…

 

その後ソーセイラボ裏手の宿泊所に戻り軽く休憩。その後は徒歩2~3分のところにある居酒屋「こづち」で食事。魚のすり身をフライした「魚(ギョ)ロッケ」などのご当地グルメに加え、山芋の天ぷら、焼き鳥や刺身の盛り合わせなどもうまかった! なお焼き鳥はにんにくパウダーを振りかけて食べるのが山口流なんだとか。

最初に注文したウニは絶品。生臭さがなく角が取れたマイルドなうまみが口の中いっぱいに広がります。醤油は九州地方でよく見る甘味のあるものを刺身用に使うのが定番らしいですが、この甘口醤油とウニの相性がホントにバツグンなんです。

地酒の種類も多く、いつもはそんなに飲まない日本酒もグイグイ行きました。視察で来ている以上、二日酔いと頭痛はなんとしても避けたいので(笑)、薄めに作ってもらった「しそサワー」をチェイサーに(笑)、3人で結構なビンを空けたと記憶しております。

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このまま調子に乗って書くと、ただのグルメ日記みたいになってしまうので本日はここまで。翌日も視察と観光が続くので、23時くらいにはラボ裏手の宿泊所に戻り明日に備えるのでした。

つづく

 

(参考)

山口県 旧県庁舎

http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a10600/kensei/top.html

So-Say Lab.(田子みどりのポジティブシンキング WEBサイト)

萩サテライトオフィス「So-Say Lab.」がオープン!|株式会社コスモピア

萩 しーまーと

萩しーまーと

反射炉

http://hagishi.com/search/detail.php?d=100081

お食事処 こづち

http://www.hagishi.com/search/detail.php?d=300054

 

ケアマネジャーが危惧する介護現場

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先日、現役のケアマネジャー(居宅支援のステーション勤務の方2人)を対象にヒアリングする機会がありました。質問項目はいくつかあったのですが、最後に自由記述という形で日々思っていること、問題と感じていることなどを書いていただきました。

そのお二人の意見に共通していたのは、介護現場は疲弊しているので抜本的な解決策が必要だという内容でした。ただお二人が指摘していたのは、介護職の肉体的な疲弊というよりは、入居者の家族がヘルパーに要求するものがあまりに厳しく、ヘルパーが精神的にパンクしてしまっているという点でした。

ご存知のとおり比較的安価な介護保険施設は、特に都心部では入所待機者がウン百人といる状況。そのため少しでも経済的な余裕がある家は有料老人ホームを選択せざるを得ない状況です。ていうかウチもそうです。

最近では入居一時金(アパートでいう敷金みたいなもの)がないホームも増えてきましたが、それでも月々の支払いが厳しい家もたくさんあるはずです。そのような中、家族がどうしてもわがままになってしまい、「こんだけ高いカネ払っているんだから、それくらいやって当然でしょ!」という姿勢の人が少なからずいることを危惧されていました。いま流行りの「モンスター〇〇」というヤツですね。

基本的に家族とヘルパー(事業者)の間に信頼関係がなければよいケアはできないと思います。ていうか世の中の仕事なんてみんなそんなもの。

肉体的なキツさに加えて、賃金や時間的拘束の問題もあります。認知症が進んだ高齢者の場合、本人からドギツい言葉の暴力を浴びせられることもあります。そのような中、たまに訪れる家族からも非難されているようではあまりに現場の職員は救われません。

自分たちが、そして自分の子どもたちが老人になった世界を想像したとき、動けない自分たちの面倒を誰が見るのでしょうか? すべての解決策になるわけではないですが、人に感謝する気持ちは絶対に忘れないでほしい。ここが失われてしまえば「人のために働くこと」そのものに意味がなくなってしまうのですから。

欠点だらけのディスポーザー

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突然ですが、皆さん「ディスポーザー」ってご存知でしょうか? シンク(流し)の排水溝に蓋をして、その蓋をひねると内部の攪拌機が動く仕組みで、構内にたまったごみを細かくすりつぶし、そのまま廃水と一緒に流してくれる機械です。

ウチのマンションにもディスポーザーが付いているのですが、たびたび攪拌機が回らない、水が詰まるといった状態に見舞われます。(ウチの嫁の)使い方が悪いというのも原因の一つではあるのですが、定期的にディスポーザーの点検に来る業者の人に聞いたところ、ディスポーザーには欠点が多く、各地で修理依頼が殺到しているようです。

内容物をすりつぶして流すため、詰まりの原因となる目の細かい繊維質は不向き、粘着質のある米もNG。さらには硬い物(卵の殻など)もダメで、一体何なら流していいの!?とツッコみたくなります(笑)。

ところがメーカーは「何でも流せます!」というのを謳い文句にしているようです。NGなものを並べていくと枚挙にいとまがなくなるため、「なんだこんな機械使いものにならねえじゃねえか!」とならないよう、デメリットは極力表にしないようにしているみたいです。

技術的に欠点が多いことは仕方ないかもしれませんが、その説明をユーザーにしないまま売るだけ売っといて、クレームの矛先が点検業者に向けられるのも問題なような気がします。実際にユーザーと接するのは点検業者の仕事。作る側とメンテナンスをする側とのコンセンサスが取れていないというのは、あとあといろんな問題に発展しかねないのではないか… そんなことを思いました。

まあトラブルを防止のため、素直に手でつまめるごみは三角コーナーを用意して捨てれば済む話なんですけどね。

骨折

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今年のお盆も通常どおり実家に帰省しようと思っています。

近い親戚一同集まる機会となるわけですが、母親に聞いたところ、有料ホームに入居している祖母は今年は来ないという。腰に骨折が見られ、座っているのもキツい状態なんだとか。

去年、脚の大手術をして以来、歩くことはできなくなったが、車いすでなら積極的に外出をしていました。ただ座位を維持しているのもキツい状態では車いすの移動も難しいはず。

心配なのは、今回の骨折を機に完全な寝たきり状態になってしまうのではないかということ。もちろん老化に抗えない部分もあると思いますが、きちんとした食生活をもう少しでも送っていれば、違った末路になったのではないのか… という勝手な想像。

母いわく、祖母は料理の手抜きが多く、小さいころ楽しみにしていたお弁当を開けたらごはんとソーセージ2本しか入っていなかったことがあったようで、それを恨み節のように息子である僕たちに言ってたことがあります。

本人も辛いでしょうが、日常のケアにあたるホームの介護士も、気を遣わなくてはいけない部分が増えたと思います。一人ひとりが置かれた状況は千差万別。改めて介護の難しさ、大変さを痛感しました。

JASRACのイミフな広告

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暑い日が続きますね~。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、世間はJASRAC一般社団法人日本音楽著作権協会)が著作権の管理下にある曲について、その曲を使用した場合、音楽教室、カラオケ教室、美容室や飲食店を相手に使用料を請求する動きを見せており、支払いを拒む団体(企業・個人)との間で大きな問題に発展しています。

今回の騒動で一躍悪名が広がったJASRACですが、楽曲の権利を保護し、不正利用を取り締まり、作者に対し正当な利益が分配されるよう(一応は)機能している団体です。そんなJASRACですが、(一応は)営利団体ではないものの、団体のPR活動の一環としていくつか広告を出しているのをご存知でしょうか? 今回、そんなJASRACが出した、思わず言葉を失い頭の中が「???」となってしまった、極めて意味不明な広告をご紹介します(数年前の広告なので細かい表現など一部記憶が定かでないところがありますがどうかご容赦ください)。

 

東京を走る地下鉄とのタイアップ中吊り広告だったようで、4コマ漫画調に以下のような展開を見せていきます。

男子高校生「おーい、〇〇ちゃん、一緒に学校行こうよ~」

男子高校生「代わりに東京の地下鉄の駅名が付く曲を教えてあげるからさ!」

女子高校生「知っているわよ。『お江戸日本橋』でしょ、それから『xxxx』でしょ…」

男子高校生「……」(自分よりはるかに知識のある女子を前にして言葉を失う)

 

あのね、

「地下鉄の駅名が付く曲を教えてあげるから」なんて口実で女子を誘うバカがどこにいるんだよ? バシっ!!(byアントニオ猪木

この時点でかなり「???」ですよね? 話の設定に無理があり過ぎる。

最後は「さまざまな楽曲は著作権によって守られています」という決まり文句で締められているのですが、そもそも『お江戸日本橋』は江戸時代に書かれた曲で作者は不明。つまり著作権は存在しません。ほかに挙げられていた曲(すみません、残りの曲名は失念しました…)もはるか昔に書かれた曲ばかりでした。

著作権保護を謳う団体が、あえて著作権に抵触しない楽曲ばかりを選んでいるこの狡猾さ

色々無理のある広告で、笑うに笑えない内容に辟易したのを覚えています。

今回ぜひこの広告の画像を載せたくて色々とググってみたのですが残念ながら見つかりませんでした。あ、でもそんなもん載せたら画像の使用料の請求が某所から来るかもしれないので載せなくて正解だったかもしれませんね。

 

車いす男性、介助拒否のニュースについて思う

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つい先日、車いすの男性が飛行機への搭乗の介助を職員に断られ、自力でタラップを登り搭乗したことがニュースで取り上げられました。

日本の航空会社、車いすの男性を自力で搭乗させる - BBCニュース

航空会社のバニラ・エアは、この措置は不適切だったと本人に謝罪しましたが、事前に車いす利用者であることを航空会社に連絡しなかったこの男性にも非があるとの声も上がり、ちょっとした騒ぎになっています。

足の不自由な人に対して、這いずりながらタラップを登らせるなんて非道な光景に映るかもしれませんが、設備が不十分な地方の空港で、大の大人をおんぶをして搭乗させるのは大変な危険がともないます。万が一、おんぶしたままタラップから転倒しようものなら、この男性も介助にあたった空港スタッフも大きなケガを負ってしまうことでしょう。「事前連絡なしで準備が整わず、かつ安全が担保できないのならば手は貸せない」。この航空会社の判断は決して間違いだったと責められるものではないと思います。

実はこの男性、木島英登さんは、車いすで世界各国を旅し、訪れた国々での出来事や各国のバリアフリーの現状などを自身のHPで紹介したり、いくつかの書籍を上梓したりしている方で、かつて私が携わった障がい者の支援雑誌に寄稿いただいたこともあります。

今僕の手元にある木島さんの旅行記では、南アフリカを訪れており、空港はもちろん、ホテル、レンタカーなどを利用する際も、すべて車いすユーザーであることを事前に告げず、その場で対応してもらったと書かれており、同国のバリアフリーの進み具合、そして働くスタッフの手際の良さに大きく感銘を受けていました。

今回のバニラ・エアの件では、事前に車いす利用者であることを連絡すれば、飛行機利用を断られる恐れがあったという理由で告げていなかったようですが、恐らく木島さんとしては、アポなしでどれくらい対応してもらえるものなのか、その国・地域、サービスを提供する会社のバリアフリーへの理解と対応度をありのままにブログなどを通じて波及しておきたかった。そんな思いがあったのかと思います。

僕が雑誌制作に携わった中で、障がい者ご本人とその家族は例外なく「諸外国のバリアフリー対策、そして人々の障がい者への理解が素晴らしい、日本では考えられない」と言っていました。翻せば、それは日本の未熟さを指摘するものであり、大きく後れを取っている法整備・教育に対する皮肉のようにも聞こえました。

今回のこの騒動は「どちらが悪いか?」という問題でなく、お互いのミスマッチ(不理解)が原因のように思えます。JALANAとは違い歴史の浅いLCC(格安航空会社)は、どういった対応をするべきなのか、バリアフリー対策と職員教育のノウハウのない会社の問題点が浮き彫りになったことだと思います。同時に「事前に断られると思った」という理由で連絡をしなかった木島さんですが、航空会社に猶予を与えれば、もしかしたら何らかの措置が取れたのかもしれません。

どうしても安全の観点から「できるorできない」という問題は起きてきます。ただ、これまでのトラブルを糧にして、企業と利用者(言い換えればハンディのない人とある人)がお互いができること、事前に配慮しておくべきことなどを洗い出して対策を取る、マニュアルを作っておけば、お互いのミスマッチの距離が少しずつでも縮んでいくのではないでしょうか。そういった努力や工夫が最終的に障壁を取り払う(バリアフリー)ものになるのだと思います。