中国による日本の海産物の輸入禁止措置が発令されて早1カ月。たびたびニュースで取り上げられていますが、特に「ホタテ」へのダメージの大きさが注目されています。
これまでの中国(香港含む)への輸出品目を見ても、ホタテは他の魚介類を圧倒していることがわかります(詳しくは以下URL参照)。
https://www.foods-ch.com/shokuhin/1694493318325/
今回の輸入禁止措置を受けて、日本政府は慌てて販路拡大に躍起になっていますが、市井で暮らす我々にとって、その恩恵を預かっているとは言い難いもの。スーパーなどの量販店で生ホタテの貝柱を目にする機会はあるものの、一向に価格が安くなることがないからです。
考えられる理由は以下のとおり
1.消費者に届くまでの中間コストを削減できない
海で獲ったものが消費者の元に届くまで(サプライチェーン)に、加工、パッケージ、物流といった
コストが発生します。最近は産直で消費者に届ける販売方法もメジャーなものになってきましたが、基本的には水産会社を介して販売するため、そこでのマージンも発生します。これらの費用を考えると、極度な安売りによって最終的な生産者の利益が希薄になってしまうのです。
2.スーパーが安売りに消極的
他店より1円でも安く売ることに腐心している各量販店ですが、安値での販売期間が長くなると、いざ価格が戻ったときに消費者からクレームにつながる恐れがあるためです。一時的なクレームならまだよいのですが、安価に慣れてしまうと、価格が戻ったときの割高感からホタテ離れが起きることも考えられます。
現在、学校給食にホタテを使ったメニューを取り入れたり、ふるさと納税の返礼品にホタテを加えたりと、あらゆる施策で状況改善を図ろうとしています。欧州などの海外に販路を見出す動きもすでに始まっていますが、成功して軌道に乗るまでにかなりの時間がかかることでしょう。輸入・輸出の両面で「脱中国」を怠ってきたツケが一気に火を噴いたように感じます。