猿一匹 酔って候

Live-up Works(リブアップ・ワークス)主宰、大西啓介のブログ。2012年からフリーライターとして活躍。企業のPR媒体から、ごみ、リサイクル問題、老人福祉などの分野をメインに取材・執筆活動を行う。現在は東京都豊洲市場に出入りして水産分野でも活動中。

日本語のインパクト

イギリスのオーディション番組で、一躍世界でも有名になった「とにかく明るい安村」。

過去にも日本の芸人が何度か出演したことがある番組なので、さほど驚きはありませんでしたが、彼の自己紹介のシーンで、ちょっと気になったことがありました。

自己紹介の場面で、自分の名前である「安村(Yasumura)」ではなく、「とにかく(Tonikaku)」とだけ紹介していたことです。その後、審査員たちからは「トニー」とか呼ばれていたみたいですが、このアピールは実に見事というか、戦略的だなと思いました。

意外と日本語の単語って、外国人相手でも通用する場面が多いのです。イギリスにいたときの話ですが、「Sake(日本酒)」「Yakuza(ヤクザ)」とか、あと「Futon(ふとん)」も日本語で通じます。みかん(オレンジでなく温州みかん)は、苗種のルーツから「Satsuma(薩摩)」と呼ばれています。
3月のブログでも触れた「おまかせ(Omakase)」も同様でしょう。

https://liveupworks.hatenablog.jp/entry/2023/03/12/182806

世界には、何かインパクトのある日本語を、あえて日本語そのままで覚えてもらおうという風潮があります。特に顕著なのが日本食レストラン。僕が住んでいたブライトンでは「Moshi-Moshi(もしもし)」という店が有名でしたし、ざっと検索しただけでも「Murasaki(紫)」「Wagamama(わがまま)」「Shogun(将軍)」とか色々出てきました。

安村さんの場合、外国人にとって慣れにくい苗字(向こうでは年齢に関係なく下の名前で呼ぶのが一般的)でなく、日本人が多用する「とにかく」という言葉で自らをブランディングしたわけです。初めての海外挑戦を前に、しっかりと準備して挑んだことがわかりますね。

あと、「もしもし」から察するように、意味そのものよりも響きが面白くてウケるケースも多いのです。僕が留学中、スペイン人の女の子2人から、「ち○ちんペ○ペロ」と言われたことがあります。意味はたぶん知っているのかとは思いますが(笑)、とにかく彼女たちにとってはその響きが面白かったようです。さすがに「ちんち○ペロペ○」じゃ芸名や店の名前には使えないですけどね。

「ちゃん」付けは本当に失礼なのか?

昨年末の話になりますが、大みそかテレビ東京で放送される『年忘れにっぽんの歌』の公開収録を観にいきました。友だちが株主優待でチケットを2枚持っていたので招待されました。

去年の放送では、表舞台から一線を引くようになった北島三郎が参加。弟子たちに囲まれながら車いすでステージに登場しました。

印象深かったのが、「『サブちゃん』という愛称で呼ばれるのは幸せ。こないだ見ず知らずの小さな子に『サブちゃん!』と声をかけてもらえて、すごくうれしかった」というエピソードを語ってくれたことです。

一般的に、年上の人に対して「ちゃん」を付けて名前を言うのは失礼にあたります。この「ちゃん付け呼び」は介護業界でもたびたび問題になっており、利用者に対して「○○ちゃん」と呼ぶ職員が、意外と少なくないことが分かっています。実のところ、僕がヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)を取得したときに実務研修で行った特別養護老人ホームでも、「ちゃん」付けで呼んでいる職員を目の当たりにしました。

でも、このサブちゃんのエピソードを聞いて、必ずしも、目上の人に対する「ちゃん」付けは失礼に値しないのかもしれない、と自分の中で考えが揺らぎました。職員と利用者。この両者は毎日ほぼ毎日顔を合わせています。ずっと敬語ばかりの堅苦しい会話を続けていたら、そっちの方が不自然で息苦しいものです。

加えて、僕自身が豊洲市場で働くことになったことも関係しているかもしれません。人であふれていて、ターレ(運搬車両)やフォークリフトが高速で行き交う魚の現場では、時に声を荒げないと危険が付きまといます。実際、魚を買いに来ている人に対して、最低限の敬語は使うものの、うやうやしく接しているシーンは皆無。スピードが求められる現場でそんな人がいたら完全に場違いです。実際に僕も、年上の人に対して怒鳴りつけるような口調で話しかけることもあるので…… たぶん僕も河岸人間にカスタマイズされてきてしまったということでしょう(笑)。

研修のときに「ちゃん」付けを聞いて、不快に感じたのは事実です。でも当事者同士にしかわからない関係があるのだし、外野がとやかく言うことは、やはり野暮なんだなと今は思う次第です。ハイ。

ヘビーローテーション


3大会ぶりにWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を制した日本代表。皆さんも連日連夜テレビの前で釘付けになったことでしょう。そんな興奮の中、コラムで同大会の放映コンテンツに苦言を呈する人が出てきました。

それはテレビ中継で使用された楽曲『Separate Ways(セパレート・ウェイズ)』に対するものでした。この曲はアメリカのロックバンドJourney(ジャーニー)の代表曲の一つで、勇ましいメロディとは対照的に、そのタイトルからもわかるように、男女の別れを歌った歌詞に批判が集まったようです。

https://spread-sports.jp/archives/188784

 

上記コラム以外でも、野球の試合にこの曲の使用はふさわしくないといった声はあったもよう。テレビ局になぜこの曲をチョイスしたのか問い合わせたところ、「あくまで曲(メロディ)が持つイメージ最優先で、歌詞の意味合いは一切考えてはいない」との回答がありました。

個人的に思うところは、楽曲の持つ意味云々よりも、CMを挟むタイミングで繰り返し曲がオンエアされたことに対する、過剰感が強いのだと思うんです。うちの嫁も気に入った曲があれば、繰り返し(一日中)室内でかけることがあるので、例えそれが良い曲であっても、次第に鬱陶しく感じて、なんだかその曲、ひいてはそのアーティストも嫌いになってしまいそうです。ちょっと大げさな例えかもしれませんが、人間、狭い空間に長時間閉じ込められると、気が狂ってしまうようですが、それに近いカオスがあるように思います。

昔、群馬にあるさびれたスキー場に行ったとき、なぜかジェームス・ブラウンの『SEX MACHINE(セックス・マシーン)』が無限ループでかかっていたのを思い出した(笑)。せっかくカッコいい曲なのに、過剰感によってその曲が嫌いになってしまうのは、なんとも惜しいものだなあと思いました。ゲロッパ!

簡単な仕事って何だろう?

 

先日、家電量販店に入ったときのこと。普段我が家でごはんを炊くときに使用している調理器具「Vermicular(バーミキュラ)」の特販コーナーがあったので、近寄ってみたところ、販売員の男性に声をかけられました。

https://www.vermicular.jp/products/ricepot/

もちろん使用中ゆえ新たに買う意思なんかまったくありません。その旨を告げたところ、

「使っていて何かお困りの点はありませんか?」と聞かれました。

実は一度、本体にある電熱ポイントに蛇口の水を跳ねて浸してしまったことがあり、それが原因でメーカーに修理に出したことがありました。その点をなるべく丁寧に説明すると、

「なるほど、そのような事例があったのですね。今後お客様にアドバイスする際の参考にさせていただきます。ありがとうございました」と言われました。

この人のような、仕事に臨む姿勢って本当に素晴らしいと僕は関心しました。誰に命令されるわけでもなく、能動的に動いて情報を収集し、仕事の肥やしとする。こういった取り組みって、絶対にどの仕事においても重要になってくると思います。

世の中の仕事で、介護のほか警備や清掃って誰にでもできる簡単な仕事と思われがちです。でもそれは絶対に違うと思います。確かに就職のしやすさという点では、ハードルは低いかもしれません。それでも働く人の意識や取り組む姿勢で、仕事をいかようにも“デザイン”できるものなのです。こういった仕事に工夫を与えられる人、デザインできる人がその業界で活躍できるはずですし、ライバルが多くても生き残れる人材なんだと思います。

何かにつけて「簡単な仕事」を口にする人へ。まだまだその仕事に可能性は秘められているはずですよ。

本のプレゼント その2

先日、仕事で付き合いのあった方から約1年ぶりに連絡がきました。その方は4月に定年退職するのですが、退職後、引っ越しに伴い溜まった大量の本を処分したいので、読みたい本があったらぜひ引き取ってほしいとのことでした。

どんな本を持っているのか聞いたところ、エクセルで作成した本のリスト一覧が送られてきました。

今まで考えたこともなかったのですが、こうやってリスト化(見える化)して、誰かにあげるのもよいアイデアだと思いました。捨ててしまうのはもったいないし、古本屋に持って行っても二束三文なのは明白。自分も読まなくなった本がたくさんあるので、こうやってリストを作って誰かにもらってもらおうかな? アイデアのパクリになるかもしれないけれど、こういった習慣が広まっていくのも、何ともステキなことではないですか。

 

おまかせ(Omakase)

https://news.yahoo.co.jp/articles/e5ac5ba086bcde50fbad66999e8983b038ac555a

このYahooの記事に書かれているとおり、「おまかせ(Omakase)」はすでに外国人相手にでもそのまま伝わる日本語になりつつあります。

今年1月末に豊洲市場で「World Sushi Cup Japan 2022」(ワールド・スシ・カップ)という、世界で活躍する外国人すし職人の技能や知識を競うコンテストが開催されました。僕も取材で同席しました。出場選手はブラジル、フランス、チェコシンガポールなど全員外国籍の選手なので、大会を通して常時英語による同時通訳がされていましたが、その中でも通訳者は「おまかせ」をあえて訳さず、「Omakase」とそのまま発音していました。

World Sushi Cup Japanの様子(筆者撮影)

この背景には、世界的な日本食ブームの影響があるわけですが、海外にはない文化や習慣などを、あえて日本語のまま外国人に覚えてもらうというのも、なかなかクールなものですね。

ただし、このYahoo記事は「おまかせ=高額メニュー」というふうにしか捉えていません。これは大きな間違いで、本来「おまかせ」というのは、旬の食材を料理人自らが吟味して、今時分最高のものを食べてもらおうというのが本来の目的のはずです。旬の食材ならば、大量に捕獲されている可能性もあるので、案外、お値打ち価格で食事できるケースも考えられます。

四季の変化に富んでいる日本では、旬の食材を食べることで季節の訪れを感じる文化があります。本当の意味での「おまかせ」もこの延長のはず。値段や体裁、ステータスを表す言葉として、「おまかせ」が誤用されているのは実に不本意で悲しいことです。まあ、韓国らしいと言えばそれまでですが(笑)。

誤字だヨ! 全員集合

① STAFF ONRY

はい、これは日本人あるあるですね。英語の「L」と「R」を間違えるパターン。英語圏の人からしたら信じられないスペルミスかもしれませんが、日本ではよくあることかも。でもここまでデカデカと書かれると、やはり目立つものです。

 

② 味噌ラメーン

これはテプラかなにかでテキスト入力したはいいが、そのまま気づかずのパターンですね。秋葉原昭和通り沿いにある某ラーメン屋です。あと関係ないけど、この券売機の真横に、なぜかラルクアンシエルのKENモデルのギターが飾ってありました。

 

③ ワルイドに突っ走れ!

ゲイリー・ムーアのアルバム『After The War』に収録されている『Livin’ on Dreams』という曲の日本語訳詞。英語歌詞では「Runnig Wild~」と歌っています。おそらく②と同様のテキストミスだとは思うが、連呼しているにもかかわらず、印刷されるまで気づかないのは、ホント狙ってやっているんじゃないかと疑うレベル(笑)

 

また、見つけ次第、投稿するようにします。